TECHNOLOGY
テクノロジー
VELVET SOUND を生み出した 数々のテクノロジー
そこには、設計・開発エンジニアたちの
"終わりなき追求" がありました
オーディオ品質を左右する要素として重要な性能指標。一方で、性能指標には表れない要素もオーディオ品質に大きな影響を与えます。
VELVET SOUND テクノロジーは、30年以上におよぶオーディオ製品開発にて培ってきた知識と経験を元にこれらの両面にアプローチし、度重なる理論の構築と実証とを繰り返しながら進化し続けています。
VISIBLE TECHNOLOGY
数値を追求した先にある
本物の生きた音
どれほど原音に忠実なのか。
それを語る上で欠かせないものの一つが性能指標です。
ノイズを排除し、歪みをなくしていくたびに鮮明になっていく、本当の姿。
そこに待っているのは、本物のライブ音によって繰り広げられる世界。
その世界を届けるために、技術を高め、性能を高め続けています。
より微小な信号再生能力を
ローノイズ・テクノロジー
AK4499EX では、業界最高水準の S/N=135dB per channel を達成しました。
理論限界に限りなく近いノイズ特性を達成するためには、DACの出力電流生成に用いられる多数の抵抗素子に対して高いマッチング精度が要求されます。
この要求に対し、実効的なマッチング精度を高める技術 DEM が一般的に用いられています。
AK4499EXでは、従来の DEM 技術を進化させた “DWA ROUTING” という新技術を開発し、製造プロセス因の素子ミスマッチの影響をさらに低減しました。
この圧倒的な低ノイズ特性により、かつてないほどクリアに微小信号を再生することが可能となり、よりレンジの広い表現を実現しています。
*DEM --- Dynamic Element Matching
*DWA --- Data Weighted Average
AK4499EX
1kHz,-155dBFS 入力時のスペクトル。32 ビットのハイレゾ音源でしか表現できないレベルの微小信号をはっきりと再現できるのは、この低ノイズ特性ならではの特長です。
より忠実に
ローディストーション・テクノロジー
AK4499EX の THD+N特性は、業界最高水準の -124dB。
ローディストーション (低歪み)・テクノロジーは、VELVET SOUND テクノロジーを支えてきたアナログ回路技術の一つであり、これまで業界最高水準の低歪み特性を特長とした多くの製品を生み出してきました。
半導体回路で用いる素子は様々な歪み特性劣化要素を持っており、それは製造プロセスに依存して変化します。この劣化要因の見極めこそが、 AKMが積み重ねてきた低歪みテクノロジーの真髄と言えます。
AK4499EXでは、新しく採用した製造プロセスの特徴を見極めて従来からの低歪みテクノロジーをさらに進化させることで歪み劣化要因を低減し、ハイエンド DAC としては業界最高水準の超低歪を実現しています。
この圧倒的な低歪み特性により、原音に忠実な信号再生を可能にしています。
AK4499EX
1kHz,0dBFS 入力時のスペクトル。基本波以外の成分が抑制され、20kHz 帯域での THD+N (基本波以外の全高調波+ノイズ積分値) -124dB を達成しています。
より自然に
スプリアスフリー・テクノロジー
AK5578 / AK5572 では、広いダイナミックレンジ 121dB (単チャネル) ~130dB (チャネル加算時) に加え、世界最高水準の相互変調歪み特性 -116dB を実現しました。
実際の音楽信号には、複数の周波数成分の信号が含まれています。これらの複数の周波数成分の干渉によるスプリアストーンの発生を、ローディストーションテクノロジーによって抑制しています。
同時に、高いスプリアスフリーダイナミックレンジ (SFDR) も実現し、より自然な音の再現が可能となっています。
AK5572
800Hz,1kHzのデュアルトーン入力時のスペクトル。200Hz, 600Hz, 1.2kHz などの相互変調成分が抑制されており、相互変調歪み -116dB を達成しています。
SENSIBLE TECHNOLOGY
紡ぎだした理論が織りなす
感性に響く音
原音に秘められたもの。
それを表現するためには、性能指標とは別の要素も必要とされます。
聴こえないとされる領域までも原音と向き合い、紐解き、紡ぎ出される理論。
年月をかけて積み上げられた理論は、数々の技術を生み出し、感性に響く音を織りなしてゆく。
その豊かな世界に出会うため、あらゆる角度からアプローチしています。
より表情豊かに
OSRD テクノロジー
Low out-of-band noise
可聴域 (~20kHz) の 10 倍に相当する約 200kHz の信号帯域を確保しています。
可聴域を超えた周波数帯のノイズは、一般的に OSR (Over Sampling Ratio) を高くすることで高性能化を図ることは可能ですが、しかし、同時に回路動作の高速化による消費電力の増大というデメリットがありました。OSRD (OSR Doubler) テクノロジーは、このトレードオフの関係をブレイクスルーする、電圧出力方式 DAC の回路技術です。
本テクノロジーにより広帯域の信号再生が可能となり、より表情豊かな音を実現しています。
(2016年 特許取得)
AK4493S
1kHz,0dBFS 入力時の帯域外ノイズのプロット。約 200kHz までのノイズフロアがフラットで、より広帯域の信号再生が可能となっています。
繊細かつ大胆な表現を
レイアウトテクノロジー
VELVET SOUND のレイアウト・テクノロジーは、信号最優先に築き上げています。
デジタル回路やスイッチング回路などの動作に起因した不要なノイズは極限まで削減すると同時に、あらゆる角度から信号へのノイズ混入経路を排除。そして、信号ラインそのものだけでなく、リファレンス、時間情報を決定づけるクロックなど、信号となるものは徹底的にノイズ源から分離するとともにノイズ耐性の向上を図っています。
さらに、バランスの取れた L/R チャンネル完全シンメトリー構成を採り、アナログ電源や信号リファレンス端子のチャネル独立したアサインなどの贅沢な物量投入を行うことで、スムーズかつ余裕のある信号の流れを可能にしています。
このノウハウの詰まったレイアウト・テクノロジーにより、繊細かつ大胆な表現を実現しています。
より多彩に
サウンドカラー・IRD フィルター
人が認識しているのは信号波形そのもの。そこで、信号波形に着目した実験を重ねた末、信号の過渡応答波形をコントロールする IRD フィルター (Impulse Response Designed Filter) を開発しました。
DAC
PCM モード時には最大 6 種類の波形選択が可能となっており、多彩な表現の中から好みに合ったものを選択できます。
ADC & SRC
PCM モード時には 4 種類のデジタルフィルタを設定でき、フィルターを切り替えることで多様な音質での音楽録音が可能です。
より高精細な表現を
高分解能デジタルコア
一般的なオーディオ計測器による測定数値には表れないほど微小な音の違い。人はそれを聞き分けています。
VELVET SOUND の 32-bit 製品群には 36-bit に拡張された高分解能デジタルコアを搭載することで、かすかな音すらも再現し、高い解像度でより高精細な表現を可能にしています。
オリジナル音源制作
最新デバイスのサウンドを検証
本社ビル内には本格的なオーディオ専用試聴室が設けられています。ここで当社オーディオマイスターがテストチップの音質評価を実施し、その結果を回路設計にフィードバックする、というサイクルを繰り返した末、VELVET SOUND 製品群は世に送り出されます。
試聴用音源は AKM 独自にスタジオ録音を行い、リファレンスとなる「原音」(生演奏) と様々なデジタルフォーマットの再生音の比較聴感テストを実施しています。
デバイスに音楽性を求めて
サウンドボード
VELVET SOUND 製品の開発はデバイス開発だけに止まらず、完成したデバイスをよりコンポーネントレベルに近い形でサウンド評価することが可能な高品位のサウンドボードの提供も行っています。
特に、D/A コンバーター (DAC) の評価ボードは、外部からデジタル入力と電源、簡単な制御信号を加えればアナログ信号が得られ、実質的にコンポーネントの DAC として働くように設計されています。
基盤の素材、構成パーツ、配線パターンの細部までこだわり、社内評価やカスタマー評価結果を元に改良を続けています。