AK4493S / AK4490R 進化した高音質技術
2022 年 3 月
インサイドストーリー #03
VELVET SOUND の裏側に迫る
開発者インタビュー
INSIDE
VELVET SOUND ブランドの新製品、AK4493S と AK4490R の進化した VELVET SOUND 技術について開発者にインタビューしました。
◆ 新生VELVET SOUND 、AK4490R , AK4493S の製品コンセプトを教えてください。
(中元)
製品コンセプトは「より優れたAK4493S」、「より豊かなAK4490R」ということで、型番のAK4493Sの”S”は「Superior」、AK4490Rの”R”は「Rich」を意味しています。2製品とも、理想とする「原音再生」にさらに近づいており、私たちの設計技術の進化を感じていただける製品に仕上がっています。
◆ 進化した高音質技術について教えてください。
(中元)
技術の進化関しては、今回、製造プロセスを変更しました。ともすれば劣化につながるこの変化を進化に変えることができたのは、私たちに回路知識だけではなく、製造プロセスに対する理解や経験があったからだと思っています。
◆ 設計技術はどのように進化したのでしょうか
(中元)
具体的に進化した点を2つピックアップします。
1つ目がインピーダンス。イメージで言うならば道路の幅です。音そのものに関わる部分は、高速道路のように車線を増やして流れを良くしてあげる、一方で、うるさい回路に関しては、道を狭く歩いてしか通れないくらい細くして静かにする。この技術が進化しています。
2つ目はノイズの設計です。
一口にノイズと言っても、いろいろな種類があります。クセがあって耳障りなものもあれば、それほど不快でないものもあります。そういったノイズのキャラクターを理解したうえで、その配分を以前と変えています。その結果、カタログ上のスペックは同等でも、聴感上のノイズ特性は良くなっており、より繊細で情報量の多い豊かな音が実現できています。
◆ オーディオマイスターから、AK4493S, AK4490Rの音について教えてください。
(佐藤)
AK4493SとAK4490Rはスピード感があって余裕のある音を実現しています。コンサートホール等での音の余韻、音が消えていく部分が空間表現だと私たちは思っています。今回の製品設計では、その部分が忠実に再現できていると思います。
◆ 最後にユーザーの方へ向けてメッセージをお願いします。
(中元)
AK4493SとAK4490Rを皆様にお届けできることを嬉しく思います。
是非皆様にVelvet Soundの原音再生の音の世界観を体感して頂ければと思います。
中元聖子 Seiko Makamoto
旭化成エレクトロニクス株式会社 製品開発センター 製品開発第一部 第三グループ 主幹技師
エキスパート 高音質オーディオ ASIC 設計
20 年以上にわたり DAC 製品の設計を担当し、コア技術を開発。VELVET SOUND ブランドを率いる中心メンバーの一人。
オーディオマイスター 佐藤友則 Tomonori Sato
旭化成エレクトロニクス株式会社 マーケティング&セールスセンター
1998 年、旭化成に入社。入社当初よりオーディオ用 IC の開発に携わり、世界に先駆けて 32 ビット DAC および ADC を企画。2009 年に旭化成エレクトロニクスのオーディオマイスターに就任、以降 VELVET SOUND シリーズとして AK4490 / AK4497 / AK4499 などの DAC チップを世に送り出し、多くのオーディオ機器に採用されている。音質チェックには、アルゲリッチやクレーメルの共演による 1988 年フィリップス盤『サン=サーンス:動物の謝肉祭』などを使用。趣味は自作スピーカーの製作で、自作エンクロージュアをフォステクスの限定ユニットで鳴らしている。